弁護士の業務には「会務」という独特のものがあります。個々のクライアントからの依頼や裁判所から選任されて行う案件とは違うので厳密には「仕事」と言えるかわかりませんが、かと言って「遊び」でもないというものです。強いて言えば「ボランティア活動」にやや近いでしょうか。
各都道府県の弁護士会や、地方ごとに置かれる連合会(九州なら九州弁護士会連合会)、さらにそれらを束ねる日本弁護士連合会(日弁連)は、会自体として対内的、対外的に様々な活動をしています。例えば、各弁護士会は「法律相談センター」といって、市民の法律相談を受け付ける組織を持っていますが、その運営においては様々な課題や問題があります。そこで、各弁護士会内にはその運営を所轄する委員会(熊本県弁護士会であれば法律相談センター運営委員会)があります。また日弁連にも同様の委員会があります。私はそのどちらにも委員として関与しています。その他、刑事弁護に関する委員会、消費者問題に対処する委員会等、様々な委員会があります。
これらの会務については基本的に対価としての報酬はなく、ただ実費・交通費は支給されることになっています。ただ、一部例外はあります。そういう意味ではボランティアです。
それぞれの弁護士が自身の関心ごとに応じて、あるいは弁護士会の偉い人に事実上命じられて(笑)これらの会務に携わっていますが、人によって関与の度合いには濃淡があり、全くやらず自身の業務に集中する方もおられれば、いくつもの委員会を掛け持ちする方もいます。昨今は一部の会員に会務が集中する、いわゆる「多重会務問題」が生じており、その不公平さを軽減するため、会務をしない人には一定の金銭的負担をしてもらうとか、会務の有償化ということが検討されています。
私は最初の事務所がボスをはじめ一生懸命に会務をする弁護士ばかりだったので、弁護士はそういうものだと思って、平均的な弁護士よりは会務をやっている方だと思います。ただ、自分の事件がおろそかになってはいけませんので、バランスよく参加することが必要です。
「そんな金にならないことやって何が楽しいの?」と思う人もいますし、実際にそう思って会務をしない弁護士もいます。ただ、私としては、弁護士会というものに所属している以上、ある程度は会務を行うのが筋かと思いますし、他の弁護士、特に日弁連の会務では全国の弁護士と知り合いとなり、そこから色々と刺激を受けることも多いので、ある程度楽しんでやっています。そうやって知り合った弁護士については、業務上分からないことなどがあった場合には協力を求めることもあったり、クライアントの紹介などもあったりして、業務と全く関係ないということもありません。
これからも、自分の事件の処理とは両立させつつ、会務に参加していきたいと思います。
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