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  • mhojo58

白鳥の歌


 「白鳥の歌」という言葉があります。人は亡くなる直前に最良の作品を残す、という意味だそうです。ただミュージシャンの場合、誰にも創造力のピークの時期というものがあり、だいたいキャリアの最初から中盤にかけて現れるものなので、生前最後の作品が最高傑作か、と言われるとどうかな、という方もけっこういます。

 しかし、以前にも紹介しましたが、オールマン・ブラザーズ・バンドのギタリスト、デュアン・オールマンは間違いなく「白鳥の歌」を残した人だと思います。

 写真は彼らの1972年のアルバム「イート・ア・ピーチ」で、レコーディング中にデュアンがバイク事故で亡くなったため、デュアン参加の曲とそうでない曲が入り混じっています。ジャケットは巨大な桃を積んで走るトラック…、やや微妙ですが内容は折り紙付きです。

 注目すべきはやはりデュアン参加曲、その中でも白眉はロックの殿堂「フィルモア・イースト」でライブ録音した"Mountain Jam"でしょう。33分間にも及ぶ長尺のジャムセッション(即興演奏)ですが、全くダレることなく進んでいきます。スリリングな中にも豪快さ、おおらかさを感じるのがアメリカのバンドらしいところです。私はこれを聴くと、雲一つない青空とカラカラに乾燥した大地、砂漠のど真ん中を貫くまっすぐな道路、砂塵を巻き上げて疾走する巨大なトラック、みたいなイメージが思い浮かびます。ベタなアメリカのイメージでしょうか。

 デュアンは冒頭のテーマに続いて短いソロを弾きますが、後半のスライドギターのソロが希代の名演と言えるでしょう。スライドギターとは、ギターのフレットを指で押さえるかわりに、金属やガラスのバーを弦の上で滑らせて奏でる奏法で、滑らかに音階を上下することができますが、その分正確な音程を保つのが難しい奏法とも言えます。デュアンのスライドは音程はバッチリ、その上でフレーズが歌心に溢れて素晴らしく、とても即興とは思えません。ここでは大空を自在に漂うような、魂が天に昇っていくような演奏を繰り広げます。私はこれ以上のスライドギターを聴いたことがありません。

 デュアンは24歳で逝去しました。私はちょうど倍の年齢を生きているのですが、彼と違って歴史に残るようなことは何もしていません。まあ天才と比べてもしょうがないので、車中でこれでも聴きながら元気を出していきたいと思います。

 

 

 

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