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裁判のIT化

mhojo58

我々の司法界のIT化はこれまでかなり遅れていて、裁判所への書面の提出などはいまだに紙ベース、書面を直接提出するかファックス送信するのが主流です。クライアントからは「うちの会社では今時紙なんか使ったら怒られますよ。ファックスなんかも、もうありません」などと言われたことがあります。

 しかし、遅ればせながら、裁判のIT化が実現化してきました。現時点では、裁判の期日(正確には「書面による準備期日」というもの)をマイクロソフトのteamsを使って開く、というところまで来ました。これは裁判官は裁判所の一室から、双方の弁護士は各自の事務所からteamsで裁判に参加する、というものです。これは非常に便利で、時間や移動の労力の節約になります。例えば、これまで八代での裁判は移動の時間を片道1時間強とみて3、4時間は予定を確保しておく必要がありましたが、これだと例えば「10時事務所で打ち合わせ、11時八代支部の期日」みたいな予定の組み方だって可能です。

 今度、さらに裁判のIT化を推し進め、今後はオンラインによる訴状等書面の提出、オンラインでの事件管理というところまで進める予定となっています。弁護士も最新の技術についていくのが大変です。私が若手弁護士のころは、「パソコンを使わない(使えない)年配弁護士」というのが結構おられて、事務職員に口述で文書を作らせているという方もおられましたが、今やパソコンが使えないと全く仕事にならないかと思います。これからは裁判のIT化についていけなければ私たちも仕事ができなくなります。

 teamsでの裁判は便利ですが、一つやりにくいのは「相手方弁護士との本音での交渉」でしょうか。建前上では相手方の要求に徹底抗戦しつつ、本音ではどこかで落ち着きどころを見出したいということはままあります。そんなときはリアルの裁判期日であれば、期日において裁判官も交えて、あるいは期日の前や後に相手方弁護士と本音での話し合いをすることがあります。teamsだとその手の話し合いは少しやりにくいと感じます。そんな場面などで、リアルの裁判期日も残っていくのかな、と感じています。

  

 
 
 

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