秋になると何故か聴きたくなるアルバムがあります。この写真、イギリスのロックバンド「ソフトマシーン」の2作目"Volume Two"です。1969年発表の、今やロッククラシックと言ってよい名盤です。
ソフトマシーンはイギリス・カンタベリー出身のバンドで、「カンタベリー・ロック」の代表格と言われています。カンタベリー・ロックはロックにジャズの要素を取り入れており、かつ英国らしい、ちょっと捻くれたユーモアを湛えているのが特徴です。
このアルバム、特に秋をイメージして作られているわけではありません。34分という今では短い時間の中に17曲も盛り込まれており(ちなみに、次作の"Third"では2枚組アルバムなのに、たった4曲だけ収録されています。極端な人たちだ…)、ジャズの影響の強い、激しい即興演奏が繰り広げられたと思ったら突然サイケデリックというか、風変わりなメロディーの歌が始まるという、他に似たような音楽がないところが魅力のアルバムです。他に似ていないということは、時を経ても古びないということで、このアルバムは全く古臭さを感じません(録音技術等は当時から各段に進歩しているので、録音の古さはいかんともしがたいですが)。
私はこのアルバムを聴くと、落ち葉が敷き詰められた並木道とか、秋の柔らかな日差しを浴びた街角、のような晩秋のイメージが頭に浮かびます。もしかしたら、ドラマー兼ヴォーカルのロバート・ワイアットのフワフワした、紗がかかったような歌声がそのようなイメージを醸し出すのかもしれません。
このアルバムを聴いて、秋の山道を走るといい感じです。ごくごく個人的なお話しでした。
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