top of page
検索

バカッターの法的責任

  • mhojo58
  • 2023年2月3日
  • 読了時間: 2分

 回転寿司で、醤油さしを舐めたり、回転ベルトに流れている寿司に唾を付けたりといった悪ふざけ映像がツイッター等で拡散されていることが話題となっています。このせいで当該回転寿司の運営会社の株が大幅に下落したという情報もあります。

 当人たちは仲間内の悪ふざけのつもりだったのでしょうが、世界的に拡散して大騒動になってしまいました。当人たちが悪いのは確かですが、これだけの騒動となり、かつこれらの画像は世界中に出回って半永久的に残ります。ネット時代の恐ろしさを感じます。

 それでは、これらの行為にはどのような法的責任が生じるでしょうか。

 刑事の面では、偽計業務妨害罪(刑法233条)に当たりうるでしょう。この行為で回転寿司の店舗は客足が減る恐れは大ですし、運営会社はこれらの行為に対応せざるを得なくなりましたから、妨害の結果を発生させるおそれがあるといえるでしょう。また「偽計」といえるかですが、「偽計」とは人を欺き、誘惑し、または他人の無知・錯誤を利用することをいいます。このような行為で、回転寿司店で回っているお寿司が不衛生であるとか、食器、調味料が汚いという誤ったイメージを明らかに与えているので、「偽計」と言いうるのではないでしょうか。同罪の刑は「三年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。決して軽くはありません。

 次に民事上の責任ですが、これらの行為で店舗ないし運営会社に損害が生じた場合、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)が考えられます。明らかに故意により相手方に損害を生じさせているのですから、不法行為であることは間違いないと考えられます。

 ただ、弁護士の目線で言うと、「損害」の主張立証がそんなに簡単なことではないかな、と感じます。本件で直接的な損害といえば、唾を付けられたお寿司や醤油さしなので、それらについて商品価値がなくなったとのことでの損害は割と明確です。ただ、これらの行為によりお客さんが減って売り上げが下がったとか、株価が下落して企業価値が下がったということについては、その客観的データをそろえる必要がありますし、またバカッターの行為と売り上げ下落等の客観的な因果関係の立証もそんなに簡単なものではなさそうです。

 もし民事の裁判になったら、弁護士としてはその主張立証に大変関心があります。しかしまあ、巨額の賠償責任が生じる可能性もありそうですので、SNS上の軽率な行為は厳に慎むべき、ということでしょうね。

 
 
 

最新記事

すべて表示
弁護士の東京一極集中

コロナ禍で一旦収まっていた東京ないし首都圏への人口流入が再び始まったとのお話があります。弁護士業界はコロナに関係なく、もうずっと東京一極集中が続いています。ここ数年はその傾向が一層進んで、例えば現在新人弁護士である第76期司法修習生だった弁護士のうち、実に64パーセントが東...

 
 
 

Comentários


© 2023 著作権表示の例 - Wix.com で作成されたホームページです。

  • LinkedIn
  • Twitter
bottom of page