中学生のころから、もう30数年間にわたって聴いているのが、このジミ・ヘンドリックスの「ジミ・プレイズ・モンタレー」、1967年に開催されたモンタレー・ポップ・フェスティバルにおけるジミのライブ音源です。
ジャケットではギターが燃えていますが、実際にもジミはライブのラストでギターにライターのオイルをかけた上で火をつけています。まさに炎上商法ならぬ「炎上ライブ」、伝説のパフォーマンスです。
このギター、フェンダー社のストラトキャスターは私にとってあこがれの楽器で、私が数年間にわたってお小遣いをためて買ったのが、フェンダー・ジャパンという日本の会社がライセンス生産したストラトでした。数年間の準備期間を経て購入したものですから愛着があってずっと持っており、先日の高校時代バンドの再結成ライブで弾くなど今でも使っています。ジミのものは正真正銘、フェンダーUSAのギターなので今では何十万円もします。それを無造作に燃やしてしまうとは…。中学生の私は映像を見て「もったいない!バチがあたる!」と思ったものでした。昔、CMで食事を好き嫌いで残した子供たちが、「もったいないオバケ」にうなされるというものがありました。ジミもこのライブの夜、ギターのお化けにうなされたのではないでしょうか。今でいうならSDGsにも反する振る舞いと言えます。
後で聞いたところによれば、ジミは自分の前に出番があったザ・フーも楽器破壊パフォーマンスをしたので、より目立とうとして無理して燃やしたとか。確かにこのパフォーマンス以外でジミがギターを燃やしたり壊したりしているところは見たことがありません。ジミも内心「もったいない…。ギターよすまぬ!」と思っていたんだな、と得心しました。
さらに、この燃やしたギターはフランク・ザッパというロックの鬼才が拾って修理して使っていたというお話もあります。ジミもザッパもロック界の偉人、神様的ミュージシャンですが、「燃やす神あれば拾う神あり」といったところでしょうか。ザッパは変人で気難しいイメージがありますが、実は「もったいない精神」に富んだ、いい人なのでは?と私はこのエピソードで感じています。
ギターが燃えたお話しばかりになりましたが、このアルバムはデビュー直後、日の出の勢いのジミヘンの名演奏がぎっしり詰まっています。縦横無尽に暴れまくるギターと、必死についていくドラムとベース、といった感じです。剛速球で三振の山を築く、といった表現が似合うような気がします。ギター炎上はダメだけど演奏は特上、是々非々で聴くべき名盤です。
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